景気後退への憂いと悲観が世界の電子機器市場の需要にインパクトを与えている。IHS iSuppliの最新予測によると、2011年の世界の半導体売上額は2010年の3045億ドルから2.9%増の3133億ドルに留まる見込みである。8月2日に発表した成長率予測は4.6%であった。

「ホリデイシーズンを前にしたこの重要な時期に、景気後退の話が電子機器市場および半導体業界の売り上げの足を引っ張っている。」とIHSでエレクトロニクスサプライチェーン及び半導体分野を担当するバイス・プレジデントのDale Fordは語る。「2011年に入って以来景気は何とか持続し、この安定した状態が続けばコンシューマ支出が電子機器の需要を支えると思っていた。しかし残念ながら経済の悪化と不安定さの加速が2011年の電子機器と半導体売上成長を緩慢にしている。経済の弱体化と景気後退の影響は引き続き2012年の半導体市場に与え、売上成長率は3.4%に留まる見通しである。」
GDPの低下
経済環境の悪化はIHS Global Insightの2011年GDP予測値にも反映されている。3月時点での世界のGDP成長率は3.7%であった。しかし夏の初めから始まった経済環境の悪化でIHS Global Insightは予測値を下方修正した。9月発行の最新GDP予測は成長率を3.0%に修正している。中でも先進国のGDP成長率は2.4%から1.4%に下げている。
2008/2009年の景気後退で学習
2011年の電子機器市場および半導体市場の成長率低下のタイミングは、2008年の第3四半期の途中に始まった市場の急落を思い起こさせる。この急落は最終的には2008年の半導体売上成長率を5.3%減に、また2009年には11.6%減まで落とした。
しかしながら、今回は事業戦略の柔軟な調整によって半導体サプライヤは年間売上の減少を回避できるだろう。
「2008年と2009年の市場縮小のインパクトは、いまだ記憶に新しく、半導体市場のサプライチェーンの各プレイヤーは既に守りの体制をとって、在庫や生産量の水準を下げている。」Fordはコメントした。「このため、IHSでは半導体市場の季節的成長がある程度見込める第3四半期は、低いレベルでの一桁成長で推移し、それが通年の市場成長を支えると見ている。」
賞賛すべき日本の生産能力の急回復
日本の大手半導体サプライヤは、地震、津波、原発問題で第2四半期は厳しい売上減を経験したが、驚くほどの短期間で生産能力を回復させた。短期的な日本の電子機器市場の需要と出荷の増加が、下半期の半導体市場を少しではあるが支える見込みである。
迫りくる景気後退?
しかしながら、日本市場の急回復に関わらず、現実的に世界景気後退が起こる可能性は無視できない。IHS Global Insightではこの可能性を40%と予測している。これが起これば、2011年の半導体市場の成長率は横ばいになると思われる。
非常に懸念される点は、電子機器のサプライチェーン内で過度の反応が増幅され、半導体の需要と供給を不確かで不安定なものにし、それが2012年にも続き、2013年まで安定させないことである。
大きな伸びを見せるワイヤレス市場
2011年の半導体市場の成長機会は、アプリケーション市場によって異なっている。スマートフォンやメディアタブレットの急激な成長で、ワイヤレス市場の半導体の売上は2011年16.7%増が見込まれている。
メディアタブレットから圧力を受けているノートPC市場ではあるが、出荷台数の成長率は一桁の中が見込まれており、この市場での半導体売上も一桁の低いレベルでの成長が見込まれている。産業用電子機器用半導体需要も同じように成長すると見ている。
一方、有線通信、コンシューマ機器、自動車エレクトロニクス分野での半導体売上は2011年減少が予測される。
伸びている電子機器は主たる半導体デバイスに明らかに影響を与えている。NANDフラッシュ、イメージセンサ、LEDや他のセンサ類は強い二桁成長率が予測されている。しかしDRAMの売上は18%以上の減少となる見通しである。
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